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2019.03.08

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写真集のススメ

今回のブログ担当の和田康平です。

写真を撮るようになってから始めて手にした写真集は、妻からもらった石川直樹さんの写真集でした。

そこに写っていた写真を見て今まで見てきた写真と違うと感じたのを覚えています。

写真集はいつも僕に新しい世界を見せてくれます。

それは表現方法であったり、写真家の考え方やコンセプト、写真の並びや構成、デザイン。

そしてなにより、写真というのはとても自由だということを教えてくれている気がします。

たまに「いや凄すぎるわこんなんwwwおれなんか写真撮らんくてもえーやんけwwww」となるような激しい一撃もくらいますが、それでも、写真集を見るのが好きです。

僕のブログの回では今までに読んだ写真集の中から自分なりにおススメを紹介していきたいと思います。

 

今回はせっかく1回目なので地元石川出身の写真家「森栄喜(もり えいき)」さんの写真集「intimacy」をご紹介します。

この作品は写真界の芥川賞と言われている木村伊兵衛賞を受賞しているので調べれば色々なレビューが出てくるのでそちらも調べてみると面白いと思います。

 

この写真集は彼の恋人やその友人、時には自分も被写体として登場している約1年間の日常生活の中でのスナップ写真です。

最初に感じたのは

「不安、孤独、寂しさ、切なさ」

といった感情でした。

理由は一度全て見終わった後にわかりました。

彼は同性愛者であり、そのパートナーとの生活の中での写真集だったからです。

つまり写真から感じた「不安、孤独、寂しさ切なさ」というのは、彼らが今社会の中で置かれている現実を感じたのだと思います。

マイノリティである自分達が置かれている状況、この先の未来への不安。

ただ、すぐに2回目を読み出すと違ったことが見えてきました。

最初には感じられなかった

「小さな幸せ、微かな希望、強い決意」

といったポジティブな感情でした。

それを感じたのは、時折入る「光」からでした。

最初に読んだ時に感じられなかったのは多分、僕の頭の中で出来上がっていた今までの同性愛者へのイメージがあったためなのではないか。

いや、もしかするととても失礼な話になるが、多分同性愛者という人達のことを考えたことがなかったからかもしれません。

ぼくのような人がどれほどいるのかはわかりませんが、少なくはないような気がします。

この写真集は僕に

「現状と未来に不安を抱きつつも、それでも微かな希望を信じて歩いて行くことを決意し、今、生きている」

ということを伝えてくれました。

 

そして、この写真は

「私写真」

というジャンルに分類されると思います。

日本で1番有名な私写真といえば荒木経惟さんではないでしょうか。

自分(撮影者)の身の回りの風景や出来事のみで構成される写真のことを指すのですが、この森栄喜さんの写真を見て、上記のことを感じ、これは「魂、あるいは人生の切り売り」であると感じました。

自分の人生をかけてこの写真を撮っているのだなと思いました。

現在、東京・秋葉原で開催されている「3331 ART FAIR 2019」にも展示されています。

このアートフェアは旧中学校の校舎を改修した建物でおこなわれていて、様々なジャンルのアート作品が展示されているそうですので、お時間合う方は足を運んでみるのもいいかもしれませんね。

 

以上になります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

次回こんなに長く書ける気がしません。

最後まで読んでいただいたついでに告知させていただきます。

今度、京都在住の写真家黒田さんと2人展をおこないます。

日時と場所は

4月6日(土)〜14日(日)

金沢  メイン展示serif S、サブ展示Necojaraci

4月30日(火)〜5月12日(日)

大阪  solaris

です。

金沢の展示がわけられているのは、

serif Sさんの営業が土日の週末のみなので実質4日間の展示になってしまうためです。

serif Sさんの展示の方が点数も多く、見応えのある展示になると思いますが、お時間や都合合わずに行かない方はNecojaraciの方でも何点か設置しておきますのでそちらをご覧になってください。

もちろん両方見ていただけたら、なお嬉しいです。

大阪の展示はkyoto graphyの会期にも合わせてありますので、そちらを見に行くついでに是非大阪まで足を運んでいただけたらなと思います。

今回の展示では、NEW JAPAN PHOTO7に掲載された作品や、今回の展示に合わせて作ったZINEも展示、販売しますので(2人とも販売します)お楽しみに。展示また近くなってきたら、インスタなどで告知します。

 

それでは今度こそ終わります。

ありがとうございました。

 

 

和田 康平