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2019.05.24

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焼き付けるのは

「LIFE!」と言う映画をご存知でしょうか。

5年くらい前の映画なのですが、とても印象に残っているセリフがあり、今でも写真を撮る際に思い出します。

 

少しストーリーをご紹介させていただくと

廃刊の決まったフォトグラフ誌「LIFE」を発刊している出版社で、写真のフィルム管理をしている主人公ウォルター。
LIFE誌の最終号のために、看板フォトグラファーであるショーンは最終号の表紙を飾る写真を撮影したフイルムをウォルターに送ります。しかし、ウォルターが受け取ったフィルムにはショーンが表紙に使うようにと指定のあったNo.25のネガだけが入っていませんでした。
ウォルターはショーンが入れ忘れたのだと思い、ショーンに会いに行こうと決めます。
しかし、ショーンは世界中を旅している上に携帯電話も持っておらずどこにいるかわかりません。
ウォルターは送られてきたフイルム等を手掛かりにショーンを探して世界中を巡る・・・という流れです。(ざっくり)

 

冒頭で私が「印象的」と述べたセリフは映画の終盤、ヒマラヤでついにショーンを見つけたシーンでのやりとりです。

ヒマラヤで雪ヒョウを撮影しているショーン(ちなみにカメラはNikon F3らしいです)。
望遠レンズを構えるショーンは現れた雪ヒョウに何故かシャッターを切りません、それどころかファインダーを覗き込むことすらやめてしまいます。

 ウォルター「撮らないの?」
 ショーン 「撮るのは時々さ」
      「もしその瞬間が自分にとって好きな瞬間なら、カメラに邪魔されたくない。」
      「その一瞬を大切に味わう」
 ウォルター「一瞬?」
 ショーン 「あぁ 今だ、今を楽しむ」

カメラを持つことで、ついついファインダー越しにばかり被写体を見てしまうことがあります。
シャッターを切る前にもう一度自分の目で被写体を見て、目と心に焼き付けることを忘れてはいけないのだと思います。

 

私は憶えておきたい日に写真を撮ることがあります。ただ、被写体は直接的なものではなく、そこから見えたものやそこにあったものを撮ります。撮った自分にだけわかるように、忘れないように自分に言い聞かせる意味もこめています。

データの保存が容易になり、数千・数万の人と一瞬で共有できる、そしてその数に価値を求める現代において、ショーンの言葉はとても重要なことを教えてくれるような気がします。

ちなみにこのLIFE!という映画、日本でのプロモーションでは妄想癖のある主人公が繰り広げるファンタジーやコメディのような紹介をされており、実際に観てギャップに驚いたという人も多かったのではないかと思います。(体験談)私が観たのは字幕版でしたが、顔が似てるというだけで主人公の吹き替えは岡村隆史でしたし。

 

作中ではショーンを追う過程でとても美しい自然が沢山出てくるのでそこも見どころです。
そして何と言ってもラストシーン。

最終号の表紙のための写真についてショーンは「まだ見ていないのか?とても美しい写真なのに」と言います。
ハードルが上がり過ぎて、表紙の写真は出てこないんじゃないかと思いましたが、映画では隠したりあやふやにせず、ちゃんとその写真が出てきます。上がり過ぎたハードルを超える答えが用意されています。
ぜひこの「とても美しい写真」も見てください。

 

1つ注意があります。
この映画を観ると冒険心が駆り立てられ過ぎて飛び出したくなります。
くれぐれも無茶をしないように。

 

映画の紹介だけになったので最後に写真貼っておきますね。
なんの写真かは説明しませんが、家族にとってのみ大切な写真です。
写真はモノクロですが、私の記憶にはカラーで焼き付いています。

vanshow